電子レンジ 絶望からの復活

お得意先の従業員さんから「電子レンジ直せますか?」と訊かれたのが発端でした。
そのお店では何でも屋として認知して戴いている流れで、ダメ元で診て欲しいと依頼を受けました。
最近の家電は、部品を交換して云々が厳しい構造になっており、その部分は私も成功報酬でとお話させて頂いた上でトライする事になりました。

東芝製オーブン電子レンジ

症状:H73表示が出て温まらない

 

 

 

 

資料を見ると、H73 ~ インバータ制御不良(起動4回失敗)/インバータ起動時4回ウォームランからぬけられなかった場合。とあります

そう言われても即原因が判るわけではない。インバータ基板自体がNGとも、そこに至る前段階でNGであるとも取れる。こういう時は、まず蓋を開けて内蔵を見てみるわけです。上の写真はもうカバー取ってありますね。すいません、せっかちなんです。カバー取らなきゃ何も始まらない。

左から、操作盤、インバータ基板、その下がマグネトロン(発振器)

電気(100V)はまず操作盤に入って、そこからインバータ基板に向かっている事が解る

 

 

 

定石としては、まず適正に電流が通っているかを一次側からテスターを当てて診ていく。

検電中。上下にヒーターが見える(オーブン用)

こちらの導通を見ると問題なし。
オーブン機能に由来するものではないと断定。
電工手袋をはめ、コンセントを差した状態で慎重に検電してゆく

 

 

 

同時に、カバー裏などに添付してある回路図を参考に検証してゆく

回路図。

これがあると無いとでは天地の差!

 

 

 

 

一つ不審な点。加熱動作をONにすると庫内のランプが点灯するはずの回路なのに、点いたり点かなかったりする事がある。点いた時には何故か加熱動作に入る事が、繰り返し動作検証をする中で見えてきた。

それを踏まえて回路図を追ってゆくと、操作盤の裏の基板のリレー(開閉器)の動作に疑問が湧いた。

操作盤に配置されたリレー

(黒いボックス状部品、中濃に3個、左に1個)

目的のリレーは中央、一番上

 

 

 

この状態でコネクタ類を結線し、動作させてテスターを当てると電流が出力されない。

 

ビンゴ!

そうなると話は早い。こいつを交換すればいいわけです。

が。そうは問屋が卸さないんですね・・・。

O社のリレー。

 

 

 

 

 

 

 

速攻でなじみのネットショップに問い合わせるも、型番で見つからないとのこと・・・。
自分で検索しても全然ヒットしない。似たものはあるが、型番が違う。

えーい!とO社に電話して、型番を伝え、仮に廃番部品なら代替を教えてくださいと筋道立てて理路整然とお伝えしました。

 

が。

曰く、これはメーカーさん向けの特殊部品なので一般供給出来ません。とのこと

はい。

こういうパターンはよくあります。茶飯事です。驚きません。商売ですからね。

リレーとは、シンプルな構造です。中に誘電コイルが入っていて、磁力で接点がON・OFFするという 。ただそれだけの構造です。そんなわけで

取り外したリレーとその内部

 

 

 

 

 

セイヤアァァァァッッッッッッッ!!!!!!!!!!

の掛け声と共にニッパーで外装プラを砕いて割りました。ああ、スッキリした・・・。

無茶苦茶ですよね。でもこれは信念の行動です。

左が誘電コイル、右が接点。コイルの磁力に引かれ、一番右の接点が隣の接点に付く事により回路が開かれます。内部が見える状態で動作させてみると、この2点のクリアランスが適正でない(開き過ぎている)事で、引っ張られても接点が触れずに回路が開かない事が解りました。

接点洗浄、クリアランス調整。その後、防塵のためにプラ板で保護閉塞。

 
ハンダ揚げ。熱に弱い部品だらけなので慎重に素早く。ここでしくじったら、さようなら。

 

 

 

 

 

配線を仮復旧した姿で、試運転。緊張する瞬間。

庫内灯はしっかり点灯。エラー出ず、試しに置いた器の水がみるみる昇温してゆく。

この機種は、対象物の温度を赤外線センサーで拾うタイプ。食材の温度がリアルタイムで表示されるって凄いですね。私も欲しい、この電子レンジ。

 

 

チーーーーン

 

おめでとうございます!

おめでとうございます!

おめでとうございます!

 

 

 

 

 

組み立て完成した修理品でコーヒー温めて飲みました。この後、30分ほど何度も試運転。

不具合が再現しない事を見届け、納品に向かいました(^^)

 

 

 

 

依頼主さんもビックリしてました。後でお聞きしたら、なんとメーカーに診てもらった後だったそうです。基板2枚交換で、ちょっと驚く高額修理だったようで、とても喜んで頂けました(^^)

精密家電はとにかくブラックボックス的な制御基板で構成されています。私も見てみるまでなんとも判断出来ませんでしたが、今も昔もそう構造に違いはないことを実感しました。
ICチップが飛んだ、などの場合はこうは行きませんが、物理的に診る事の出来る、いわゆる可動部品の不具合の場合はうまく対処出来る事が多いです。

買い替え、高額修理、その前に一度ダメ元でご相談ください。度胸一発で直った、そういう経験は実のところ数多くして来ました。

まだまだ使えるものは、多いです! (^^)

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